USBディスクリプタ入門:基本構造と役割を理解する

USBデバイスがホスト(通常はパソコン)と通信するためには、さまざまな情報を提供する必要があります。その情報は「USBディスクリプタ」として知られており、USBデバイスの認識と機能の設定に欠かせない要素です。ここでは、USBディスクリプタの基本構造とその役割について詳しく解説します。

 

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1. USBディスクリプタとは?

USBディスクリプタは、USBデバイスの特性や機能に関する情報を保持するデータ構造です。ホストがデバイスを認識し、適切なドライバをロードするために必要な情報が含まれています。

2. 基本構造

USBディスクリプタにはいくつかの種類があり、それぞれ異なる情報を提供します。主なディスクリプタには以下のものがあります。

a. デバイスディスクリプタ

b. コンフィギュレーションディスクリプタ

c. インターフェースディスクリプタ

  • 概要: USBデバイスの特定のインターフェースに関する情報を提供します。
  • 主なフィールド:
    • bLength: ディスクリプタの長さ
    • bDescriptorType: ディスクリプタの種類(インターフェースディスクリプタの場合は0x04)
    • bInterfaceNumber: インターフェース番号
    • bNumEndpoints: このインターフェースで使用するエンドポイントの数
    • bInterfaceClass: クラスコード(例えば、HIDデバイスの場合は0x03)

d. エンドポイントディスクリプタ

  • 概要: USBデバイスのエンドポイント(通信チャネル)に関する情報を提供します。
  • 主なフィールド:
    • bLength: ディスクリプタの長さ
    • bDescriptorType: ディスクリプタの種類(エンドポイントディスクリプタの場合は0x05)
    • bEndpointAddress: エンドポイントのアドレス(方向を含む)
    • bmAttributes: エンドポイントの属性(転送タイプなど)
    • wMaxPacketSize: エンドポイントが扱える最大パケットサイズ

3. 役割

a. デバイスの認識

USBディスクリプタは、ホストがUSBデバイスを正しく認識するために不可欠です。デバイスが接続されると、ホストはデバイスディスクリプタを読み取り、ベンダーIDやプロダクトIDなどの基本情報を取得します。

b. ドライバのロード

ホストはデバイスディスクリプタの情報を基に、適切なドライバをロードします。これにより、デバイスが正常に動作し、ユーザーが利用できるようになります。

c. 機能の設定

コンフィギュレーションディスクリプタやインターフェースディスクリプタを通じて、デバイスの機能や使用するエンドポイントの設定が行われます。これにより、デバイスの特定の機能が有効になり、ホストとの通信が確立されます。

まとめ

USBディスクリプタは、USBデバイスの認識、設定、通信のために重要な役割を果たします。デバイスディスクリプタコンフィギュレーションディスクリプタ、インターフェースディスクリプタ、エンドポイントディスクリプタなどの各種ディスクリプタが連携し、ホストとデバイスの円滑なやり取りを支えています。USBディスクリプタの基本構造と役割を理解することで、USBデバイスの動作原理をより深く知ることができます。