シリアル通信プロトコルの選択:UART vs SPI vs I2C

組み込みシステムやマイクロコントローラなどでデバイス間の通信を行う際に、UART、SPI、I2Cなどのシリアル通信プロトコルが使用されます。それぞれのプロトコルには特徴や用途が異なるため、適切なプロトコルを選択することが重要です。本記事では、UART、SPI、I2Cのそれぞれの特徴や適用例を紹介し、プロトコルの選択について考察します。

 

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UART(Universal Asynchronous Receiver/Transmitter)

特徴:

  • 非同期シリアル通信プロトコルであり、データの送信と受信がクロック信号に同期しない。
  • 単方向または双方向の通信が可能であり、1対1の通信に適している。
  • データの信頼性が高く、簡単に実装できる。
  • ボーレートやフレーム形式などのパラメータを設定する必要がある。

適用例:

  • シリアル通信が必要なシンプルな通信システム。
  • マイクロコントローラとコンピュータ間のシリアル通信。
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SPI(Serial Peripheral Interface)

特徴:

  • 同期シリアル通信プロトコルであり、クロック信号に同期したデータの送受信が行われる。
  • マスタースレーブ構成による通信が可能であり、複数のスレーブデバイスを制御できる。
  • 高速なデータ転送が可能であり、ボーレートは設定可能。
  • 4線式(MISO、MOSI、SCK、SS)または3線式(MISO、MOSI、SCK)で接続される。

適用例:

  • マイクロコントローラと周辺デバイス間の高速なデータ転送。
  • メモリ、センサ、ディスプレイなどの周辺デバイスの制御。

I2C(Inter-Integrated Circuit)

特徴:

  • 同期シリアル通信プロトコルであり、複数のデバイスが1つのバスを共有することができる。
  • マスタースレーブ構成による通信が可能であり、マルチマスター環境に対応する。
  • 2本の信号線(SDA、SCL)で接続される。
  • 低速なデータ転送に適しており、クロック速度は設定可能。

適用例:

  • マイクロコントローラと周辺デバイス間の短距離通信。
  • センサ、EEPROM、リアルタイムクロックなどの周辺デバイスの制御。
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プロトコルの選択基準

  • 通信速度: 高速通信が必要な場合はSPIが適しているが、低速なデータ転送でよい場合はI2CやUARTが選択肢となる。
  • バイスの数: 複数のデバイスを制御する場合はSPIやI2Cが適しており、1対1の通信でよい場合はUARTが選択肢となる。
  • 物理的な接続: デバイス間の物理的な接続方法やケーブルの本数に制約がある場合、プロトコルの選択が影響を与える。

まとめ

UART、SPI、I2Cはそれぞれ異なる特徴を持ち、異なる用途に適しています。システムの要件や制約に応じて適切なプロトコルを選択し、効率的な通信を実現しましょう。