【シリアル通信】UART、SPI、I2C: 通信プロトコルの比較と使いどころについて解説!

 

 本記事のゴール
・シリアル通信のそれぞれの特徴を知る

組み込みシステムにおいて、異なる機器やモジュール間での通信は欠かせません。その際に使用される通信プロトコルには様々な種類がありますが、今回は代表的なUART、SPI、I2Cに焦点を当て、それぞれの特徴や使いどころについて比較してみましょう

UART (Universal Asynchronous Receiver/Transmitter)

UARTは非同期シリアル通信を行うプロトコルで、2本の信号線(TX: 送信, RX: 受信)を使用します。各デバイスが専用のクロックを持たず、データのやりとりにはスタートビット、データビット、パリティビット、ストップビットといった情報が含まれます。

使いどころ:

  • ・短い距離でのデバイス間通信に適しています。
  • ・シンプルで信頼性が高く、デバッグが比較的容易です。
  • ・シリアル通信の適用範囲が広く、RS-232などの標準も存在しています。

SPI (Serial Peripheral Interface)

SPIは同期式のシリアル通信を行うプロトコルで、複数のデバイスを1つのバス上で制御することができます。通信にはマスターとスレーブの役割があり、4本以上の信号線を使用します(SCLK: クロック, MOSI: データ送信, MISO: データ受信, SS: スレーブ選択)。

使いどころ:

  • ・高速なデータ転送が必要なアプリケーションに適しています。
  • ・フルダブレット通信が可能で、データの読み書きが同時に行えます。
  • ・ピン数が多くなるため、簡単な通信でなく、高度な制御が必要な場合に適しています。

I2C (Inter-Integrated Circuit)

I2Cは同期式のシリアル通信を行うプロトコルで、複数のデバイスを1つのバス上で制御します。通信にはマスターとスレーブの役割があり、2本の信号線(SDA: データ, SCL: クロック)を使用します。

使いどころ:

  • ・ピン数が少なく、シンプルな接続が可能なため、少量のデバイスとの通信に適しています。
  • ・データ転送速度はSPIより遅いですが、基本的な制御には十分な速度です。
  • ・センサーネットワークや組み込み機器の制御によく使われます。

比較:

  • 伝送距離:
     ・UART: 短距離向け。
     ・SPI: 短~中距離向け。
     ・I2C: 短距離向け。
    ピン数:
     ・UART: 2本(TX, RX)。
     ・SPI: 4本以上。 
     ・I2C: 2本(SDA, SCL)。
    データ転送速度:
     ・UART: 低速。
     ・SPI: 高速。
     ・I2C: 中速。
    使用範囲:

     ・UART: 広範囲
     ・SPI: 高度な制御が必要な場合。
     ・I2C: シンプルな通信が必要な場合。

まとめ:

それぞれの通信プロトコルには得意な用途があります。UARTはシンプルで信頼性が高く、SPIは高速通信が可能で、I2Cはピン数が少なくシンプルな接続が可能です。プロジェクトの要件や制約に応じて適切なプロトコルを選択することが重要です。